【 幹細胞培養上清液のエクソソームとは何か? 】
幹細胞培養上清液とは、幹細胞を培養する過程で得られる上澄み液であり、幹細胞そのものは含まれませんが、幹細胞が分泌した多様な生理活性物質を豊富に含んでいます。その中でも特に注目されているのが「エクソソーム」です。エクソソームは直径30〜150ナノメートルの細胞外小胞で、細胞間の情報伝達を担う“メッセンジャー”のような存在です。幹細胞由来のエクソソームには、内部にマイクロRNA(miRNA)やメッセンジャーRNA(mRNA)、タンパク質、脂質などが含まれており、標的細胞に取り込まれることで遺伝子発現や細胞機能に影響を与えます。
幹細胞培養上清液には、①エクソソーム(内部にmiRNAを含む)だけでなく、②エクソソームの外に存在する遊離miRNA、③細胞の成長や分化を促す成長因子、④炎症や免疫応答を調整するサイトカインなども含まれています。これらの成分が複合的に作用することで、組織修復、抗炎症、免疫調整、神経再生など多岐にわたる生理的効果が期待されます。
特にエクソソームは、幹細胞の性質を反映した情報を運ぶため、幹細胞治療の代替手段として注目されており、細胞移植に伴うリスクを回避しつつ、再生医療の可能性を広げています。幹細胞培養上清液に含まれるエクソソームは、幹細胞の種類(脂肪、骨髄、歯髄など)や培養条件によって成分が異なるため、治療目的に応じた選択が重要です。
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